奮戦記
【09.02.12】来年度予算関連の国税法案について本会議で質問
私は、今日の衆議院本会議で、日本共産党代表して来年度予算関連の国税法案について質問しました。──質問の全文は、以下の通りです。
「所得税等改正案」等についての代表質問(全文)
私は、日本共産党を代表して、「所得税等改正案」「公債発行及び財政投融資特別会計からの繰入の特例法案」について、麻生総理に質問します。
はじめに、この本会議が与野党の合意のないまま、強行されたことに強く抗議するものであります。
昨年来の米国の金融危機は、急速に世界中の景気を悪化させ、日本経済は深刻な事態をむかえ、いまだ出口が見えない状態であります。
はじめに、基本的認識を伺います。総理は、金融危機について「米国のサブプライムローン問題に端を発するもの」と、対岸の火事のような言い方をしました。しかし、原因は米国にのみあり、日本に責任はいっさいないといえるのでしょうか。
今回の金融危機の原因は、金融の自由化、規制緩和のもとで、金融の証券化がすすみ、投機的な売買を通じて金融バブルがふくらみ、それが崩壊したことが原因です。しかし、その原因をつくったのは、米国だけではありません。日本もEU諸国も金融の自由化、金融のビックバンを競うように進めてきました。
日本銀行は、低金利政策のもとで市場に資金をジャブジャブ供給し続けました。この低金利資金が、円キャリートレードなどを通じて、アメリカの過剰流動性を増幅させ、国際的な投機資金を膨らませてきたのであります。政府と日銀は、その責任のをどう感じているのでしょうか。
今日の深刻な事態を増幅させたのは、小泉内閣以降、押し進められてきた「構造改革」路線であります。それは、市場原理と競争によって弱肉強食の社会をつくり、弱者を排除する一方で、大企業には優遇税制など手厚い支援をすすめてきました。法人税率の連続的な引き下げ、連結納税制度の導入、研究開発減税の拡大、欠損金繰越期間の延長など、至れり尽くせりの大企業優遇税制が実行されてきたのであります。
本法案においても、引き続き大企業減税が拡充されました。外国税額控除の見直しであります。
本税制改正案では、間接外国税額控除制度に代えて、外国子会社からの配当を益金不参入、つまり配当を非課税とする制度が導入されます。海外に工場など子会社を持つ大企業にきわめて有利な減税措置であります。
政府は、本制度のねらいについて、海外子会社が溜め込んでいる内部留保金を、国内の投資に還元させるものと説明します。しかし、その保証はどこにあるのでしょうか。
日本機械工業連合会等のアンケート調査では、本制度により「日本法人への配当が増加」と回答したのはたった13.5%の企業です。その大半が「影響は小さい」「わからない」と回答しているのであります。
何を根拠に海外の内部留保が国内に還元し国内投資が増えるといえるのでしょうか。また、どの程度の国内投資の増加を見込んでいるのか。具体的にお示しいただきたい。
政府の至れり尽くせりの優遇政策の結果、自動車・電機をはじめ輸出関連産業の大企業は、史上空前の利益をあげてきました。大企業は、潤沢な内部留保を抱え、役員報酬、株主への配当を急増させたのであります。しかし、労働者の賃金はかつてなく押さえ込まれ、家計を冷え込ませたのであります。
これが、今日の格差拡大を招いたという認識は、総理にあるかどうか伺いたい。
次に、金融証券税制についておききします。
2008年度の税制改正で、源泉所得税および配当益に対する10%の軽減税率は、2年間の経過措置の後、原則廃止と決められました。にもかかわらず、またまた本法案により軽減税率の延長が図られています。そもそも、昨年の原則廃止は、大資産家優遇を是正する目的で導入したのではなかったのですか。そもそも、上限の規制もない、海外に例を見ない軽減税率は、大資産家へのとてつもない減税となっているとの認識を、麻生総理はお持ちなのでしょうか。
このような優遇税制でなく、投機的売買が横行しない公正・公平な証券市場を整備することこそ、政府のやるべき仕事なのではありませんか。
大企業・大資産家には減税をおこないながら、なぜ、庶民に増税をおしつけるのでしょうか。
本法案の附則では、2011年度までに「消費税を含む税制の抜本的な改革」を行うための法制上の措置をとることが盛り込まれました。
しかし国民の多数は、たとえ社会保障の財源であっても消費税の増税に反対の意思を表明しているのです。雇用がますます不安定になっているなかで、麻生内閣が消費税の増税を打ち出したことは、不安をいっそう増幅させています。総理は、国民の声を、どう受け止めているのでしょうか。
いま、重要なことは、輸出依存=外需頼みから家計を中心とする内需主導に経済の基本を転換することであります。
ある経済学者は、「国内総生産に対する個人消費の比率は55%、輸出の比率は16%です。だから、消費を1%増やせば輸出が3%落ち込んでもカバーできる。消費を3%増やせば輸出が10%落ち込んでも大丈夫」と指摘しています。つまり、個人消費を直接支えることが内需主導の持続的成長に、決定的な効果があると説いているのであります。
たとえば、3割強しか消費拡大に寄与しない定額給付金と違って、消費税の食料品非課税措置を行えば、そのまま消費拡大に回るのであります。首相は、なぜ検討結果を国民に提示することなく、消費税の「減税は適当でない」と一方的に決め付けるのでしょうか。
総理。どうしても消費税を増税したいというなら、衆議院を解散して国民に信を問うのが当然ではありませんか。
最後に、埋蔵金の流用についてききます。
公債発行及び財政投融資特別会計からの繰入の特例法案では、基礎年金の国庫負担分を2分の1に引上げる財源として、2009年度、2010年度について、財政投融資特別会計の準備金から財源を手当てすることとなっています。これは、2011年度の消費税増税までの間、いわゆる埋蔵金で基礎年金拠出金の財源を確保しようとする考えから来ているのではありませんか。
昨年、福田前総理も認めたように、自民党公明党は、定率減税の縮減・廃止の増収分を、基礎年金拠出金に対する国庫負担の割合の引きあげに充てると説明してきました。
定率減税の廃止にともなう年間2.8兆円もの増税は、いったいどこに消えてしまったのでしょうか。明確な答弁を求めて質問を終わります。
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