奮戦記
【10.11.04】本会議で代表質問――内政・外交で国民は失望・落胆
衆議院本会議が開かれ、補正予算案・財政演説に対する質問をおこないました。
私は、日本共産党を代表して質問に立ち「危機に瀕した国民の生活と営業を救済する有効な手だては見あたらない」と指摘し、「内政、外交、政治姿勢のどれをとっても自民党政権との基本的違いを見いだすのは不可能になった」とのべました。
質問要旨は、以下の通りです。
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私は、日本共産党を代表し、財政演説について質問します。
政権交代後、1年と2ヶ月が経過しました。国民の多くは、生活の苦難からなんとしても抜け出したい、これまでの政治を根本から変えたいと願ってきました。
しかし、民主党政権は、その願いに応えたでしょうか。内政面でも外交面でも、失望と落胆の声が国民の中に大きく広がっているのであります。
第1に、「生活第一」は、どこに行ったのでしょうか。
国民の暮らしに、改善のきざしはありません。この1年間に離職した労働者は724万人にのぼっており、新たに採用された人を40万人も上回り、雇用者総数は減り続けています。大手企業ほど非正規労働者をまっ先に切り捨てております。
そのため、民間平均給与は、年に24万円も減少し、5世帯に1世帯が貯蓄ゼロ、生活が苦しくて自殺する人が年に8300人を超えています。
その一方、大企業は、内部留保を200兆円をはるかに超える規模で積み上げているのであります。
このような事態を招いたのは、民主党政権が財界・大企業を応援することには力を尽くすが、国民の暮らしを直接支援する有効な手だてを講じなかったからではないでしょうか。菅総理は、その責任をどう感じているのでしょうか。
菅総理が推進する「新成長戦略」にも、今回の補正予算にも、危機に瀕した国民の生活と営業を救済する有効な手だては、ほとんど見あたりません。
第2に、「自立した外交」「対等な日米関係」は、どこに行ったのでしょうか。
米軍の普天間基地については、「最低でも県外」という公約を投げ捨て、結局は辺野古に米軍基地をつくるという最悪の選択をし、沖縄県民に押しつけようとしているのであります。県民の怒りは、頂点に達しております。
日本農業に壊滅的な打撃を与えるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の推進を、10月の所信演説で、菅総理は突如として打ち出しました。その発端は、昨年11月、来日したアメリカのオバマ大統領の提案だといいます。
菅内閣はこれに唯々諾々と従い、農民からごうごうたる非難と落胆の声が寄せられ、政権内部もバラバラであります。菅内閣は、それでも推進するというのでしょうか。
第3に、「クリーンな政治」はどこに行ったのでしょうか。
民主党は、小沢一郎氏の政治資金規正法違反事件で国民の厳しい非難をあび、「企業・団体献金の禁止」を公約に掲げ、公共事業を受注している企業からの献金を受け取らないと決めていたはずです。
ところが最近になって、突然、受注額1億円未満の企業からの献金を受け取ることにしたのであります。これは、明らかに逆行です。いったい、国民にどう説明するのでしょうか。
小沢氏について言えば、われわれは証人喚問で4億円の原資等を説明するよう求めています。菅総理も「何らかのかたちで国会で説明することが必要」と答弁されました。総理自身は、何を説明すべきだと考えているか、この場で明らかにしていただきたい。
次に、経済政策の基本に関わる問題についてです。
内部留保の中核である利益剰余金と資本剰余金は、あわせて227兆円。10年間で73%も増えています。大企業は、投資先のない「空前のカネあまり」なのに、国民のなかでは貧困化が進んでいます。
大企業は、利益を株主配当や役員報酬にまわし、海外向けの投資を増やし、海外で利益をあげても国内には還流させておりません。国内産業・雇用・税の空洞化をいっそう進めております。総理は、どう認識されていますか。
いま、問われているのは、大企業にため込まれた巨大な内部留保を、国内の労働者、中小企業、社会に適切に還流させ、家計消費中心の内需拡大に切り替えることであります。そのためには、何が必要か。
第一に、大企業に応分の負担を求めることであります。法人税の減税など論外であります。
下げ過ぎた法人税を少なくとも10年前に戻す、税率は累進課税にし中小企業には負担をかけない。このようにして、内部留保を国庫に還流させ、それを財源に社会保障・医療・介護を充実させることが必要です。
こうしてこそ、所得の再分配機能を復活させることができるのであります。財務大臣の答弁を求めます。
第二は、労働者を使い捨てる大企業の横暴をおさえることです。そのためにも、労働法制を抜本的に改正し、非正規雇用を正規雇用に切り替える。中小企業への支援を増やしながら最低賃金を1000円に引き上げることなどが必要です。
第三は、大企業による下請単価の不当な切り下げを許さず、適切な引き上げをおこなうよう指導し、下請け中小企業の経営を安定させることであります。
3点について、明確な答弁を求めます。
民主党政権の1年を振り返ると、内政・外交・政治姿勢のどれをとっても、自民党政権との基本的違いを見いだすのは、不可能となりました。
日本共産党は、財界・アメリカ言いなり政治から、国民が主人公となる政治への根本的な転換を求めて、たたかいつづけることを表明し、質問を終わります。
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