奮戦記
【12.03.27】財金委でAIJの参考人質疑――社長、虚偽報告認める
衆院財務金融委員会がひらかれ、AIJ投資顧問(東京都中央区)による巨額の年金資産消失問題で、浅川和彦社長らを参考人招致し質疑を行いました。
政府が進めてきた規制緩和に乗じて、年金資産を食い物にしてきた実態が浮き彫りになりました。
私は、AIJが租税回避地の英領ケイマン諸島に設立したファンド(投資基金)に資産を投じる仕組みを使って無謀な投資を繰り返し、巨額の年金を消失させた責任を追及しました。
「ケイマンのファンドに対する英国の大手監査法人の監査報告書を握りつぶし、運用実績を改ざんした虚偽の報告書を作成させた」と指摘すると、浅川氏は、年金資金を水増しさせた虚偽の報告書を公認会計士に「依頼した」と認めました。
私は、「損失が出ている事実を偽って、利益が出ているかのように顧客に報告し、自らの利益を図るのは明らかに違法だ」と批判しました。
浅川氏は、ケイマン諸島を利用したスキーム(仕組み)は「アイティーエム証券(ア社)に作ってもらった」と証言。ア社と一体で進めてきたことを認めました。
ア社に封書で届くファンドの監査報告書について同社の西村秀昭社長は、「(中身を)見ないで(浅川氏に)持ってくるように言われていた」と証言。「当時、90%以上の株をAIJが握る親子関係だ。いわれたらその通りにやるという状況だった」と語り、損失を隠す手助けをしていたことを事実上認めました。
私は「デリバティブ(金融派生商品)の損を隠して(顧客を)だました罪は極めて大きい」と批判。「徹底した調査とともに、証人喚問で真実を明らかにすべきだ」と求めました。
年収7000万円 返金策示さず
「私が水増しの数字を(公認会計士に)渡し、作っていただいた」。浅川氏はこうのべ、運用実績の改ざんを認めました。「だますつもりはなかった」と釈明したものの、「損をしたまま返したくないという責任を感じていた」と元本割れを認識していたことを認めました。
AIJの実質傘下で販売を担当していたアイティーエム証券の西村秀昭社長と、AIJと顧問契約を結んでいたコンサルタント会社の東京年金経済研究所の石山勲社長も出席。一体で勧誘・販売を担っていたことも鮮明になりました。
西村氏は「当時は90%以上の(当社)株をAIJ社が握っている親子関係にあった」と説明。「どちらかというと被害者」とのべつつも、「販売に関してはかなり責任がある」と認めました。石山氏も「経理は基本的にAIJ社に任せている」とのべ、AIJと一体の経営を認めました。
顧客への返金について浅川氏は「ファンド(投資基金)は分別管理されており、その範囲で返す。そのほかをどうするかについては答えられない」、西村氏は「速やかに返金するよう全社員と努力する」と答えるだけでした。
浅川氏は、年収が約7000万円におよぶことを明かしたものの、弁償へ充てることについては「報酬を多く取ったとか、だまし取ったつもりは全くない」と否定しました。
テレビ、新聞社などの報道機関と傍聴人で、傍聴席はいっぱいになりました。
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