奮戦記
【12.11.15】衆議院本会議で公債特例法案に反対の討論
本会議で、公債特例法案にたいして反対討論をおこないました。その全文は以下の通りです。
私は、日本共産党を代表し、公債特例法案に対し反対の討論を行います。
野田内閣は、先の通常国会で廃案となったものとまったく同じ内容の法案を提出したのでありますが、その後、民自公3党の「合意」によって重大な修正が加えられました。
公債特例法案は、予算と一体のものであります。
野田内閣による今年度予算は、消費税増税を前提としており、さらに年金の支給額の削減、子ども手当の削減など社会保障の連続改悪を進めるものとなっております。
これは、国民の暮らしも、経済も、財政も破壊する道に踏み出すものであり、このような予算には賛成できませんし、この予算を支えるために多額の赤字国債を発行することは、到底、認めるわけにはいきません。
議員立法による修正部分について言えば、民自公3党で「確認書」が交わされ、議員立法として昨日、提案されたばかりであります。
しかも提案したその日に、財務金融委員会で質疑をおこない、質疑終局、採決をおこなったのであります。あまりにも乱暴であり、委員会における充実した審議を否定する、こんなやり方は到底受け入れられる話ではありません。厳しく抗議するものであります。
やり方も乱暴ですが、修正内容にも重大な問題が含まれています。
修正案では、「2012年度から2015年度まで」の4年間、特例公債の発行を自動的に認める内容となっております。
憲法第83条は、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」と定めております。どこから財力を調達するかも含め、主権者である国民を代表する国会の議決に基づくものとしているのであります。
憲法第86条は「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」と、予算の単年度主義を規定しています。
そのうえで、財政法第4条は、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源と
しなければならない」としているのであります。
公債や借入金は、財政法では認めていないのです。
これは、過去の戦争で戦費調達のために大量の国債を発行し、国家財政と国民生活を破たんさせた痛苦の経験があったからであります。
財政法第4条でかろうじて認めているのは、公共事業等のための公債発行と借入金だけであります。それも、返済計画を提出するなどの条件付なのであります。
かつて大平正芳(おおひらまさよし)大蔵大臣は、1975年12月、衆議院大蔵委員会で赤字国債発行について、こう述べたことがあります。
「財政法は、公債の発行は四条国債以外認めていないわけでございます」。特例公債の発行が「習い性(ならいしょう)となっては困るわけでございますので、異例の措置であれば、その年度限り、その特定の目的のために、これだけのものをお願いする、というように限定しなければならぬ」と。
公債特例法案は、閣法として出し、その都度、国会の承認を得るというのが原則であり、単年度に限定したのは、財政規律を保つための最低限の措置だったのであります。
いったい、民自公3党は、この重みをどのように受け止めているのでしょうか。公債特例法案を政局の駆け引きの道具にし、そのあげく、もう邪魔だからという理由で、その限定を外してしまうのは、あまりにもご都合主義ではありませんか。
もしも、4年にわたって特例公債の発行を認めれば、財政規律はどうなるのか。
2013年度、14年度、15年度の予算は、まだ、まったく影も形もないではありませんか。
どのような内容の予算が組まれるか分からないのに、赤字公債の発行だけを先に認めてしまう。まさに“赤字国債発行自由化法案”ではありませんか。
「中期財政フレーム」で歯止めをかけるとか、公債の発行額の抑制に努めるという「努力規定」を入れても、まったく歯止めにはなりません。
フレームは単なる枠組みであり、入れ物であります。予算編成の内容は、そのときの政権の判断で決められますから、赤字国債は予算の組み方によっては、いくらでも自動的に発行できるのであります。
しかも、国会のチェック機能を今後3年にわたって奪うことになるのであります。議会制民主主義の重大な蹂躙であります。
自民党の「国土強靭化計画」によれば、10年で200兆円の大規模投資を行うとしています。そのうえ、最初の3年間を「集中期間」とし「15兆円を追加投資する」と書かれています。
つまり3年間の投資額は毎年25兆円となり、法案の骨子には、「日本再生債を創設する」と書かれています。これは、赤字国債の増発ではありませんか。
総選挙後に、仮に自民党政権が出来ると仮定すると、2013年度から2015年度までの3年間は、どんな大規模な予算を組んでも、自由に赤字国債を発行できることとなるのであります。
これは、消費税増税前に、際限ない無駄遣いに道を開くことになり、財政破たんの危険性をますます高めるものとなるのであります。
なお、民自公の「3党合意」にもとづいておこなわれた、先の内閣修正は、本年度分の基礎年金国庫負担を2分の1に引き上げるための財源を、当初案の「交付国債」から「年金特例国債」に変えるというものであります。
そのような修正をしても、償還財源に消費税増税分を充てることに、何ら変わりはありませんので、賛成できません。
以上で反対討論とします。
衆院議運委員会での発言
今日の厳しい経済状況下における国民生活の実情に鑑み、議員歳費の2割削減法案に賛成の態度をとるものとします。
ただし、消費税増税のために身を切ると称して定数削減を求めたり、それが実現するまでの間、歳費をカットするというやり方にくみするものではありません。定数削減は、民意を切り捨てるものであり、議会制民主主義の土台を掘り崩すものだからであります。
もともとの復興のためという理由は、どこにいったのでしょうか。また、歳費については議員のあり方の議論を踏まえて取り扱うべきであります。
このことを指摘しておきます。
なお、委員長手当の廃止法案については、わが党が一貫して求めてきた課題を実現するものであり、賛成であります。
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