奮戦記
【09.12.06】民主党・小沢幹事長は、なぜ「国会改革」に執着するのか
民主党は、11月に「国会改革」案として、〈1〉政府参考人制度を廃止する、〈2〉答弁禁止の例外となる政府特別補佐人から内閣法制局長官を外す、〈3〉国会に行政監視を目的とした「新たな場」を設け、官僚や有識者らから意見を聴取する、など5項目の素案をまとめました。
これは、民主党の小沢一郎幹事長が、長年主張してきたことを具体化したものです。
とりわけ、政府参考人制度の廃止、内閣法制局長官の答弁禁止は、「脱官僚支配」を口実に、法律によって禁止するというものです。
政府参考人制度を廃止して政治家同士の審議を活性化させるといいますが、なぜ、法律でしばらなくてはならないのでしょうか。
役人に答弁させたくなければ、大臣など政務3役が答弁すれば済む話ではないでしょうか。
実際、臨時国会でも、委員会質疑で政務3役による答弁が主でした。
これまでも、高級官僚が不正や腐敗、問題を引き起こしたさい、国会に招致して事実関係と責任の究明をはかることがなされてきました。
官僚を議会に呼び、官僚機構の問題点を直接ただすことは、通常行われてきました。
しかし、官僚の国会答弁を法律で禁止すると、国会が、憲法で保障された「国政調査権」「行政監督権」を発揮するうえで大きな障害をつくることになるのではないでしょうか。
官僚機構への調査・監視機能は、同じ行政機構である政府部内でしか働かなくなり、国会はその外におかれてしまうことになりかねません。
小沢幹事長は、内閣法制局長官の答弁禁止に、特にこだわりを見せています。その理由は何でしょうか。
これまで、内閣法制局は、内閣の憲法解釈を担当し、自衛隊を「合憲」と認めるなどの解釈改憲を重ねる一方、あからさまな憲法違反は認めることはできませんでした。
たとえば、1990年の「湾岸戦争」当時、小沢氏が自民党幹事長として自衛隊を派遣しようとしたのに対し、法制局が自衛隊参加に道を開く憲法解釈の変更は認められないと答弁し、自衛隊の派兵が中止に追い込まれたことは有名です。
これを契機に、小沢氏は一貫して内閣法制局長官の答弁禁止を主張してきています。
内閣法制局長官の答弁禁止には、解釈改憲の拡大を図る狙いが含まれていることは、明らかです。