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奮戦記

【13.05.24】アベノミクスのもろさを示す株下落と金利高騰

 今日の財務金融委員会で、麻生大臣にアベノミクスについて質問した。その主張点は以下の通り。
 …………………………………

  ◆昨日は、長期金利が急騰し株価が下落した。東証株価が1143円下落したのは、13年ぶりで史上11番目の大きさである。また、新発10年ものの長期国債の金利が、昨日は一時1%に上昇した。
 今日の日経平均株価は前日終値比で500円高から500円安まで1000円以上の値幅で派手に値動きした。――終値は前日比128円47銭高の1万4612円45銭。
 ……アベノミクスの基盤はたいへん「もろい」のではないか。
 今日の「朝日」はこう書いている。――『「アベノミクス」の本質は、人々をその気にさせようという「心理学」だ。金融と財政を通じて思い切りお金をばらまく。その勢いで多くの人が「景気はよくなる」「物価が上がるから早めに買おう」と信じこむ。そうなれば本当に景気はよくなる。そんなシナリオを描いている。だから崩れるときはもろい』。『問題は、市場にお金を永久に投じ続け、株価を上げ続けることはできないことだ』と。――なかなか的確で分かりやすい論評だと思う。
 この市場の乱高下のもとで、大もうけをしている投資家がいるかと思えば、日々の生活に苦しんでいる国民がいる。
 ツイッターで、こんな話がでている。「あんまり景気がいいって言うから、ついつい買い物しすぎたけど、給料増えてないから、来月はその分緊縮だ」と。これが、庶民の生活実感だ。

◆経済動向を判断する前提として、日銀に、数字を確認した。いまの時点で、国債を保有しているのは誰なのか。その内容は以下の通り。

   ※ 国債の保有主体別構成(直近12年12月末)
    日本銀行   90.9兆円  11.6%
    銀行等    300.2 38.2
    保険     181.2 23.1
    家計     24.5 3.1
    海外     34.9 4.4
その他    153.3 19.5
 (合計)    785.0 100.0
  (注)「その他」のなかに年金の運用分が含まれる。
    企業年金29兆円、公的年金68兆円。計97兆円。

 銀行と保険だけで国債全体の6割、61.3%を占めている。では、そのうち、国債を大量に売っているのはどこか。都銀がいちばん多い。
 先日の参考人質疑では、全銀協の会長は、この事実に一切触れず国債は年金基金が売っていると答えた。責任逃れではないかと思う。

  ◆次に、この間、株価を押し上げてきたのは誰なのか。
 昨年の秋ごろから、日本株の投機的な買いが急増したといわれるが、この間、取引主体別に見て買い越しがいちばん多かったのはどこか。
 麻生大臣は、外国人投資家によるものだと答えた。その通りだ。
 今回の株価下落の引き金を引いた主体、売り浴びせをおこなった主体も海外投資家なのだ。この間、ヘッジファンドなどの投機的な活動が活発になり、株高だけが先行した。逆に、国内の金融機関、生・損保、個人は売り越しだ。
 外国人の投機活動で株が急騰したから、それを見て、こんどは金融機関や機関投資家などが国債を売って株にシフトした。それが国債価格の下落、長期金利の上昇をまねいた。
 そのうえ、日銀ルールを停止してまで国債の大量買い取りをおこなうことも、国債に対する信用を弱める要因になっているのではないか。
 実体経済の改善がないまま、安倍内閣の金融緩和政策だけが先行した。しかし、それでは限界がある。というよりも間違っている。
 やはり大事なことは、実体経済をどうするかだ。最終需要をどう増やすか、とりわけ家計消費を中心とする内需の拡大が求められている。それなしには、日本経済の安定した拡大はない。

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