奮戦記
【08.05.23】金商法改正は一般人を金融被害に巻き込む/後期高齢者医療制度の廃止求める集会
政府提出の金融商品取引法(金商法)改定案が、今日の衆院財務金融委員会で、自民、公明、民主などの賛成多数で可決されました。
日本共産党は反対しました。
同改正案は、インサイダー取引への課徴金水準の引き上げなど「市場ルール」を構築するとしています。
しかしその一方で、(1)専門知識を持ったプロ投資者に限定した取引市場の創設、(2)ETF(上場投資信託)など金融商品の多様化、(3)証券会社・銀行・保険会社間の役職の兼職規制の撤廃など、政府のいう「貯蓄から投資へ」の流れに沿って規制緩和をすすめるものとなっています。
採決に先立って、私は、日本共産党を代表して反対討論に立ちました。
反対した理由は、次の3点です。
(1)新設される「プロ向け市場」と一般投資家との遮断が不十分なため、プロ向けのリスク商品取引に巻き込まれる懸念がある。
(2)商品先物価格に連動するETFを解禁することで、新たな金融被害の火種を増やすことになる。
(3)銀行・証券・保険会社の「垣根」が低くなることで、利益相反による弊害防止策が後退する。
政府が約束してきた包括的・横断的な金融サービス法の制定を先延ばしにしたまま、規制緩和を推し進めれば、被害を拡大することになります。
――詳しくは、別掲の反対討論をご覧下さい。
後期高齢者医療制度の廃止を求める国会前抗議集会で連帯のあいさつ
衆議院第2議員会館前で、今日から会期末までの毎日、後期高齢者医療制度の中止・撤廃を求める抗議行動が、東京民医連などを中心におこなわれています。
また、中央労福協などが中心となって組織されている「後期高齢者医療制度」を撤廃する会も開かれています。
私は、それぞれの集会であいさつをしました。
4月に始まった「後期高齢者医療制度」について、民主、共産、社民、国民新の野党4党は、明日、制度の廃止法案を参院に共同提出することを決めました。
廃止法案は、同制度を来年4月1日に廃止してもとの老人保健制度に戻すことを柱とする内容で、参院で参考人招致や地方公聴会を行い、徹底的に審議する方針です。
野党共同で提出した法案では、後期高齢者保険料を年金から天引きする特別徴収を遅くとも今年10月1日までに停止すること、同制度の導入前に被扶養者だった人の保険料徴収を政府が6か月間「凍結」している措置について、これを1年間に延長することなどが盛り込まれています。
金融商品取引法改正案への反対討論
日本共産党を代表して、金融商品取引法改正案に反対する討論をおこないます。
反対する第一の理由は、新設される「特定投資家市場」いわゆるプロ向け市場と一般投資家との遮断が不十分なため、プロ向けのリスク商品取引に一般人が巻き込まれる懸念があることです。
一般投資家への転売禁止の規制が設けられるものの、プロ向け市場で流通する高リスク商品を、投資信託などを通して一般投資家に販売することに、新たな規制は設けられておりません。そのため、転売禁止規制が運用上、無力化する懸念があります。また、国内外の新興企業の将来性を分析し、リスクを判断するだけの能力を持っているとは言い難い地方自治体や法人、資産家を「特定投資家」とし、プロ向け市場に参加できる資格者であるとする合理的根拠は見当たりません。知識もリスクテイク能力もない一般投資家が、ハイリスクハイリターンの市場に巻き込まれる可能性が残された本制度には、到底、賛成できません。
第二の理由は、商品現物との交換可能なETFを解禁することによって、新たな金融被害の火種を増やすことになるからです。
金や米・麦などの商品先物はハイリスクハイリターンの金融商品として、本来、厳しい規制の下で取引が行われるものであります。しかし、現実には、監督行政も甘く、個人投資家・消費者保護制度が不十分なため、商品先物などの金融商品による被害が続発しています。例えETFとはいえ、商品先物に連動するハイリスクの金融商品が銀行の窓口等で販売されることになれば、リスクを理解できない高齢者や一般投資家を巻き込む危険性を高め、新たな金融被害を生じかねません。消費者保護制度の改善には手を付けず、このようなリスク商品を拡大していくことには、賛成できません。
第三の理由は、銀行・証券・保険の間のファイアーウォール規制の緩和です。
証券会社・銀行・保険会社の間の役職員の兼職規定の撤廃など、ファイアーウォール規制を緩和することは、利益相反による弊害防止策を大きく後退させるものです。金融ビックバン以降、コンプライアンス重視を標榜する監督行政のもとで、規制緩和をすすめてきましたが、金融機関の不祥事はあとを絶ちません。融資先の中小企業に金融派生商品を押し付けた三井住友銀行が、事件を起こしたのもほんの2年前のことです。金融機関の管理体制に委ねるかたちの規制緩和には反対です。
本法案には、課徴金制度の強化など若干の改善内容を含んではいます。しかし、約束してきた金融サービス法の制定を先延ばしにし、規制緩和をさらに推し進める内容となっています。これらを総合的に判断し、本法案に反対するものです。
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